リニア新駅 ~奈良県三つ巴の戦い~

リニア
06 /15 2017
【2019年9月20日更新】

奈良県にも待ちに待った高速鉄道・リニア新幹線がやってきます。
リニア新幹線は、8年後の2027年に東京 - 名古屋間が開通予定で、
早くて2037年には名古屋以西の名古屋 - 大阪間が開通する予定となっています。
現在の新幹線のおよそ2倍のスピードである時速500kmで走り、
東京 - 大阪間を67分で結ぶと言われています。
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沿線9都府県(東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、奈良、大阪)に
それぞれ1駅ずつの計9駅が設置され、奈良県内にも駅が設置されることが決まっています。
東京 - 名古屋間はルートと駅の設置場所が既に確定しており、
東京は品川駅、名古屋は名古屋駅をリニア新駅の設置場所とし、工事も進められています。
一方、名古屋 - 大阪間については、三重県・奈良市附近を通るという
だいたいのルートは決まっているものの、駅の設置場所が決まっているのは
大阪府の新大阪駅のみです。
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三重県は「リニア中央新幹線建設促進三重県期成同盟会」が
亀山に駅を設置することを要望しており、これに反対する大きな勢力は今のところありません。
環境調査などに問題が無ければ、亀山にリニア新駅が設置されることになるでしょう。

しかし奈良県は足並みがそろっておらず、奈良市・大和郡山市・生駒市がリニア新駅の誘致合戦を
いまだに繰り広げています。
この3市の中で、一番勢力が大きいのは大和郡山市に駅を設置するよう要望している
「『奈良県にリニアを!』の会」です。
奈良県内39市町村のうち、奈良市・生駒市・平群町を除いた36市町村と
多くの県議会議員により結成され、会長は森下豊・橿原市長が務めます。

これに対して、奈良市は「人口が県下トップ」「平成元年に奈良県議会及び奈良市議会にて
奈良市内の駅設置が議決済み」「県庁所在地であること」などを理由に、
市内に駅を設置するように強く求めています。

一方、生駒市は関西文化学術研究都市(以下、学研都市)の中心部に近く、
大学や研究機関の集積があることを理由に、駅の誘致を進めています。
なお、平群町が大和郡山市案の「『奈良県にリニアを!』の会」に参加していないのは
生駒市との繋がりが強いためと考えられます。

奈良県は「駅の場所を決めるのはあくまでJR東海」と考えており、
県が率先して駅の場所を選定する動きは今のところありません。
2019年8月時点の荒井正吾知事の考えによると、下記の2点を満たしていれば
リニア新駅を設置するにふさわしい場所だとしています。
・用地取得が容易で、工事費用がかからない場所。
・将来の発展性が良い場所。

ここからは、2019年9月時点の私の個人的な見解をご紹介します。
人それぞれ異なる考えをお持ちだと思いますので、
これはあくまで「多くある意見のうちの一つ」と捉えて、読んでいただけると幸いです。
ご意見・ご感想があれば、PC版ページのメールフォームをご利用ください。
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奈良市
奈良市はリニア新駅の候補地として下記の3ヶ所を候補にあげています。
・JR平城山駅(ならやまえき)周辺(平城山案)。
・JR奈良駅、近鉄奈良駅、近鉄新大宮駅周辺(奈良市中心街案)。
・JRの新駅周辺(八条・大安寺案)。

八条・大安寺案は2019年8月に奈良市が新たに提言した案で、
2027年の開業を目指しているJR奈良新駅(仮称)にリニア駅を設置するというものです。
JR奈良新駅は、JR大和路線(関西本線)の奈良 - 郡山の中間駅で、
将来は京奈和自動車道の奈良ICが近くに設置される予定です。
予定地は大安寺周辺で「奈良市南の玄関口」として観光振興や地域活性化につながると
期待されています。

HP:奈良市 リニア中央新幹線概要と誘致の現状

【平城山案】
利便性:★★☆☆☆(やや不便)
将来性:★★☆☆☆(やや不安)
建設のしやすさ:★★★★☆(やや容易)
■メリット
・線路がまっすぐ敷ける
 平城山は県最北端の場所であり、三重県の亀山、大阪府の新大阪駅との緯度が近いので、
 線路がまっすぐに近い状態で建設することができます。
 ただし京都府との県境にも近い場所で、木津川の上流を通ることになります。
 リニア工事による静岡県の「大井川の水資源減少問題」のようなことが起こる可能性もあります。

・用地買収が容易?
 平城山周辺は開発がそれほど進んでいないので、用地買収も比較的スムーズに
 進むのではないかと考えられます。

■デメリット
・アクセスが不便
 駅が設置される場所は県の最北端です。つまり、奈良県民はリニアを利用する場合、
 長い移動時間と交通費をかけて、県の最北端まで移動しないといけません。
 さらに平城山は、JR大和路線(関西本線)は通ってはいるものの、多くの奈良県民が
 日常利用している近鉄の路線はありません。現在の路線図のままだと、
 近鉄利用者は大和西大寺駅・新大宮駅・近鉄奈良駅でバスの乗り換えを強いられるでしょう。
 もし近鉄が平城山への延伸をするとしても、今の路線図で考慮すると、
 スムーズに平城山に進入できるのは生駒方面からの「けいはんな線」のみです。
 どちらにせよ多くの人が不便な思いをすることになるでしょう。

・交通渋滞
 リニアを降車したら、まず奈良県内を移動する人と、京都方面へ移動する人に
 大きく分かれると思います。ひとまず半分は奈良県内を移動する人としましょう。
 ここでは、奈良県内を移動する人のことについて考えます。
 駅が県の最北端にあるので、降車した利用客は南へ向かいます。
 南に向かうと奈良市の中心街があります。奈良市内の幹線道路は、
 現在でも慢性的な渋滞が課題となっています。
 2032年度には、京奈和自動車道が郡山下ツ道JCTから奈良北ICまで延伸される予定ですが、
 奈良市内は有料区間ですので、渋滞が完全に解消するとは考えにくいです。
 つまりリニアの利用者が増えることにより、奈良市内の渋滞状況がさらに悪化するリスクがある
 ということです。これは奈良市民も耐え難いことだと思います。鉄道を利用するにしても、
 利用客が多い大和西大寺駅やその周辺のさらなる混雑が懸念されます。


【奈良市中心街案】
利便性:★★★☆☆(普通)
将来性:★★★★★(期待)
建設のしやすさ:★☆☆☆☆(困難)
■メリット
・世界に通用する観光地へ駅から歩いて行ける
 奈良公園へは駅から歩いて行ける距離なので、観光客の利便性は高いでしょう。

・奈良県下一の繁華街
 奈良県で最も賑やかな場所であるため、駅を設置するのに
 最もふさわしい場所であるのはたしかです。

■デメリット
・莫大な開発費用
 奈良県で一番の繁華街というのは短所にもなり得ます。
 それは周辺の開発に莫大な費用と時間がかかるということです。
 奈良市の中心街はたくさんのお店や住宅が立ち並んでいるので、
 用地取得が最も困難な案だと思います。
 また、東には奈良公園と神域である春日山、南には古い町並みを残す「ならまち」、
 西には世界遺産の平城宮跡があり、線路を通す隙間もありません。
 地下に通すとしても奈良公園や平城宮跡にトンネルを掘ることになり、
 反対の声が多く上がるのは必至です。
 この案が、最も現実的ではないと私は考えています。
  
・交通渋滞
 平城山案と同様に、奈良市内の交通渋滞が懸念されます。
 奈良市内の道路整備がもっと円滑に進めば、このデメリットも解消されるのですが。


【八条・大安寺案】
利便性:★★☆☆☆(やや不便)
将来性:★★★☆☆(普通)
建設のしやすさ:★★★☆☆(普通)
■メリット
・用地取得が容易
 これからJR奈良新駅の開業に向けて開発を進める区域なので、
 リニア新駅を作るための用地取得は最も容易な案かもしれません。
 ただし、周辺は既に住宅地となっており、すぐ近くには佐保川があるので、
 立地条件はそれほど良くはありません。
 
・京奈和自動車道のICが近い
 この付近には将来、京奈和自動車道の奈良ICが開業する予定です。
 もし、リニア新駅に多くの観光バスが出発したとしても、すぐに高速道路に入ることができるので、
 一般道の渋滞悪化が抑えられます。

■デメリット
・近鉄路線から離れている
 多くの県民が利用する近鉄路線と離れているのが、この案の弱点です。
 現在の路線網で考えると近鉄利用者は新大宮駅や西ノ京駅で
 バスに乗り換える必要があります。
 対策として考えられるのが、大和郡山市案のリニア新駅設置場所に近鉄が新駅を設けて、
 近鉄・JRの乗り換えを可能にすることでしょうか。
 そうだとしても近鉄利用者から見れば、近鉄→JR在来線→リニアと乗り換えの
 手間が発生します。平城山案ほどではありませんが、不便さが少し目立ちます。




大和郡山市
大和郡山市は、奈良市の南隣にある県内第4位の人口を誇る都市で、
JR大和路線(関西本線)と近鉄橿原線の交差地点をリニア新駅の候補地としています。
JRと近鉄両方の乗換えがスムーズに実現できる唯一の案で、
リニア・JR在来線・近鉄が一体となった駅の建設を提案しています。
候補地は大和郡山市の北側なので、JRが計画している「奈良市附近」にも該当し、
JR郡山駅と大和小泉駅の間、近鉄郡山駅と筒井駅の間に乗り換え駅を設置する考えです。
HP:大和郡山市 リニア新駅誘致

【大和郡山市案】
利便性:★★★★★(便利)
将来性:★★★☆☆(普通)
建設のしやすさ:★★★☆☆(普通)
■メリット
・アクセスが便利
 南北へは近鉄橿原線、東西へはJR大和路線が通っているので、
 県内各地からのアクセスが最も良い場所です。
 道路においても、南北へは国道24号線と京奈和自動車道、
 東西へは国道25号線と西名阪自動車道が市内を通っています。

・県内各地の観光地へもアクセスが良好
 リニアを降りてJRに乗り換えると、東は奈良公園とならまち、西は法隆寺、
 近鉄に乗り換えると、北は平城宮跡、南は飛鳥・吉野と県内各地の観光スポットへの
 アクセスが良好です。
  
・他府県へのアクセスも良好
 奈良県内のみならず、他府県へのアクセスも非常に良い場所です。
 大阪・和歌山方面へはJR、京都・三重方面へは近鉄に乗り換えることで、
 比較的スムーズに目的地に向かうことができます。
 車移動であれば、大阪・三重方面は西名阪自動車道、
 京都・和歌山方面は京奈和自動車道を利用するルートになります。
 なお、将来この近くには京奈和自動車道の大和郡山北IC(仮称)が設置される予定です。

■デメリット
・県庁所在地でない
 県内の地理に詳しくない人が駅の住所を見ると「大和郡山市?奈良市ではないのか」
 「奈良公園から離れているのか」と思われることが多いでしょう。
 実際は奈良公園の最寄駅である奈良駅まで2駅ですので、
 平城山から奈良公園へ向かうのと、距離や時間は大きく変わりません。
 印象の問題ですが、やはり奈良市と比べると見劣りするのは仕方がないと思います。
   
・線路がまっすぐに敷けない
 亀山と新大阪駅を直線で結ぶと、大和郡山市案の候補地は
 南に少し迂回するルートになります。
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生駒市
生駒市は、奈良市の西隣にある県内第3位の人口を誇る都市で、
奈良先端科学技術大学院大学などの大学や研究機関が集まる学研都市を
リニア新駅の候補地としています。
HP:生駒市 リニア中央新幹線の新駅誘致

【生駒市案】
利便性:★☆☆☆☆(不便)
将来性:★☆☆☆☆(不安)
建設のしやすさ:★★★★☆(やや容易)
 
■メリット
・線路がまっすぐ敷ける
 平城山案と同様の理由で、線路を比較的まっすぐに敷くことができます。
  
・学研都市のさらなる発展
 県外の話ですが、JR学研都市線の松井山手駅(京都府京田辺市)に
 北陸新幹線の中間駅設置が決まりました。
 松井山手駅から生駒市までは、かなり離れていますが、
 北陸新幹線とリニアで学研都市のさらなる発展を期待する人も多いようです。
 ただし北陸新幹線が大阪まで開通するのは、リニアが全線開通してから
 10年ほど先(早くて2047年?)と言われています。
 
■デメリット
・アクセスが全案の中で最も悪い
 まず学研都市が県内のどこにあるかというと、県北西部の端になります。
 最寄駅は近鉄けいはんな線の学研北生駒駅、または近鉄奈良線の生駒駅になりますが、
 ともに距離が離れているので、駅からはバスを利用することになります。
 また奈良市附近と言えど、5つの案の中で奈良市の中心街から最も離れています。
   
・どこへ行くにしても不便
 手軽に乗換えができる路線が無いので、移動が非常に不便です。
   
・JRが市内を通っていない
 生駒市内にはJRの路線が無く、近鉄の路線しかありません。
 リニア線を建設するのはJR東海で、県内のJR路線を管轄するのはJR西日本という違いは
 ありますが、同じJRグループが好んでこの地を選択するには、
 よっぽどの理由や将来性がない限り考えにくいと思います。
  
・観光客向けではなく、ビジネスマン向け
 学研都市周辺には目立った観光地がありません。どちらかというとビジネスマン向けに
 考えられた候補地です。とは言うものの学研都市に用事があるビジネスマンは
 かなり限定されています。奈良県は観光都市であることを忘れてはいけません。
 この生駒市案は、奈良県や県民にとって最も利益が見込めない「愚案」だと私は考えています。
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総評
理想は奈良市中心街案ではありますが、先述したように困難な課題がいくつかあります。
また、平城山や学研都市のように県の端に駅を設置するのではなく、
奈良盆地の中央に近い八条・大安寺案または大和郡山市案が適切でしょう。

個人的には、近鉄利用者でも便利にリニアを利用することができる
大和郡山市案が最適だと考えています。

ただ、リニア新駅の設置場所を最終的に判断するのはJR東海で、
名古屋以西のルートが決まるのは、まだもう少し先の話です。

また、リニアの駅が設置されるからといって全てが良くなるとは限りません。
新幹線の駅ができたために、さびれてしまった街も実際にあります。
そのために早い段階から、リニアの駅を設置しても、
輝き続ける街にするために、今から準備を進めていかなければなりません。
リニア新駅ができることによる良い影響が県内全域に波及することを願っています。


さいごに
奈良県民のみなさん!短時間で長野、山梨、東京へ行きたいですよね!
そして、東の方からたくさんの観光客に奈良県に来て欲しいですよね!
奈良県にたくさんの観光客が来れば、奈良県の経済が潤います。
すると、奈良県に住んでいる奈良県民の生活が良くなります。

福祉を良くするためには税収を増やさないといけません。
「奈良県は観光都市」です。本業である観光業で儲けないといけません。

リニアが奈良に来るのは20年後とまだまだ先の話ですが、楽しみに待ちましょう。





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