川上村をぶらり旅Ⅳ その2 ~大滝ダム~

川上村
11 /17 2019
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前回の「川上村をぶらり旅Ⅳ その1 ~村制施行130周年記念イベント~」の続き
(2019年11月16日)。


大滝(おおたき)ダム
紀の川(吉野川)本流上部の川上村大滝にあるダムで、水害を防ぐための治水、利水、
それに水力発電などを目的に建設された特定多目的ダムです。
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大滝ダムは景観を重視したデザインの重力式コンクリートダムです。
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大滝ダムは計画以来、地元の反対運動が激しく補償交渉が極めて長期化し、
さらに完成直前に貯水池斜面が地すべりを起こし、対策に時間が掛かるなど
完成までにおよそ50年を費やした日本の長期化ダム事業の代表格です。

2012年(平成24年)6月に治水目的の供用が開始されました。

■沿革
紀の川では1949年(昭和24年)から「十津川・紀の川総合開発事業」による
河川総合開発事業が進められていて、川上村大迫(おおさこ)地点に大迫ダムの建設が
行われていました。
ただし、主目的は「吉野川分水」による灌漑整備という利水で、
大迫ダムには洪水調節目的は無く、治水事業としてのダム計画は行われていませんでした。

ここに1958年(昭和33年)8月25日の台風17号、そして翌年1959年(昭和34年)9月26日には
伊勢湾台風が紀の川流域を襲い、壊滅的な被害を受けました。
特に奈良県では、前年の台風17号の災害復旧もままならない内に、
伊勢湾台風の被害を受けたため、被害額が歳入を大幅に超過する事態に陥りました。

財政危機に見舞われた当時の奈良県知事(奥田良三氏)は
「紀の川に多目的ダムを建設して欲しい」と切実に訴えました。
伊勢湾台風の洪水により紀の川の治水は根本的な変更を迫られました。
建設省は1960年(昭和35年)に「紀の川修正総体計画」を策定し、
ダム計画は当初、大迫ダムに洪水調節目的を追加して、ダム堤高を引き上げ、
総貯水容量も4倍にする計画変更を模索しました。

しかし、大迫ダム嵩上げよりは、新規のダム建設の方がより治水安全度が高まる事もあり、
大迫ダム下流の川上村大滝に特定多目的ダムを建設する計画を
1962年(昭和37年)に発表しました。これが大滝ダム建設の始まりです。


■強烈な反対運動 ~東の八ッ場(やんば)、西の大滝~
大滝ダム建設計画の発表がされた当時、川上村では同じ地域に3ヶ所のダム計画が
進められるという特異的な状況でした。
既に1954年より大迫ダムの建設が開始されており、大滝ダムの他に奈良県営水力発電事業の
一環として大迫ダム上流の川上村入之波(しおのは)地点に「入之波ダム計画」が
進められていました。

「入之波ダム計画」は、後に大迫ダムに発電目的を加えることで計画中止となりましたが、
大滝ダムについては村の中心部、399戸が完全に水没、他関連移転を含めると475世帯が
移転を余儀無くされることになりました。
既に大迫ダムで151世帯が水没し、これ以上のダム建設は村の存亡に関わるとして、
村を挙げての猛烈な反対運動が巻き起こりました。

この頃、東日本では利根川水系吾妻川に計画されている八ッ場ダムを巡る
群馬県吾妻郡長野原町の官民一体となった反対運動が起こり、
大滝ダムと同じ状況が展開されていました。

この事から、一向に事態が進展しないダム事業の代名詞として
「東の八ッ場、西の大滝」という言葉が関係者の間に広まっていきました。

ダムの空みち
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大滝ダムではダムの中を歩くことができます。
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最下層まで続く階段がありますが、一般人はこれより下へ行くことはできません。
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ダムの中みち
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ダムから見た景色
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運が良ければ放水シーンを見ることができます。
※この写真は2013年9月23日に撮影。
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おおたき龍神湖(りゅうじんこ)
大滝ダムの人工湖。
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川上村は林業発祥の地。
杉や桧(ひのき)などの針葉樹ばかりのイメージがありますが、
秋に色付く広葉樹も見ることができます。
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ダム右岸エリア
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急な坂道を登っていくとレールが見えてきます。
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クロベノエキ(黒部のケーブルクレーン)
大滝ダムでは黒部ダムなどで活躍した11の仮設備が使われ、
現在はこの黒部のケーブルクレーンが残っています。
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ケーブルクレーン
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クロベノエキから見た大滝ダム
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防災ステーション
大滝ダムの必要性と防災意識を高めてくれる施設である防災ステーションもあります。
HP:大滝ダム学べる防災ステーション
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施設内では、屋久島と並ぶ豪雨地帯・大台ケ原(おおだいがはら)の豪雨を
体験することができます。長靴とカッパは施設内に用意されているので、豪雨を体験しましょう。
足元と首元はしっかりと締めておかないと衣服が濡れるので注意です。
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【オマケ】
中井戸(なかいど)バス停
中井戸バス停周辺は、川上村の紅葉スポットです。
民宿うえむらが目印で、すぐ近くに車が停められるスペースがあります。
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川上村の紅葉
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針葉樹と広葉樹の共演
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川上村をぶらり旅Ⅳ その3 ~不動窟鍾乳洞~」に続く。

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